高校三年生になってしまった。覚悟はしていたつもりだった。でも想像よりもはるかに重い。常に頭の中は受験のことでいっぱいだった。私の目標はW大に入ることだった。そのためだけにずっと頑張ってきたという自負はあった。それでもいざ受験生になり、この一年間の過ごし方ですべてが決まるのだと思うと怖くてたまらなかった。もともと体は強いほうだったのに、急に体調を崩すことが増えた。病は気から、というのは本当なのかもしれない。気晴らしに散歩にでも出かけてみようかと思った。高校の進路説明会に来ていた卒業生が、勉強のやる気がなくなった時は志望校の近くまで散歩に行っていた、と言っていたのを思い出したのだ。電車で三駅の距離をわざわざ歩き、私はW大のキャンパスまで歩みを進める。落ち着いていて、どこか異国情緒の漂う街並み。されど人の往来は活発で、学生たちの会話がそこら中から聞こえてくる。
「昨日の休み、何してた?」
「ドイツ語の勉強とレポートかな」
「うわやっぱドイツ語かあ。試験、だいぶ重たいよね。私、語学苦手だからちょー苦痛! レポートいま何個?」
「五個かな。ほんとに終わらなくて。参考文献も探して読まないといけないからね」
「がんばれがんばれ、応援してる!」
「そっちは? サークルの方で小説書くって言ってたっけ」
「そうなんだよ、小説なんて書いたことない、ちゃんと書けるか不安すぎ!」
「読めるのすごく楽しみにしてるよ、がんばってね」
「期待されてんねえ。がんばっちゃおっかな」
いいなぁと思った。言葉ではレポートが大変だーだのドイツ語がーだのと言っているが、実際それほど追い詰められているわけでもないんだろうな。私も来年はあんな風になれるのだろうか。そんなことをぼんやり考えながら歩いていると、講堂の前に来た。畏怖の念を抱いた。大戦や地震、風雨にも耐えてずっとこの場所にあり続ける講堂は、とても我慢強いなと思う。それに比べて私は受験生になってから、毎日逃げたい。なんて弱いんだろう。
「ねえお母さん、私ここで勉強したい」
講堂の前で、目を輝かせてそう話す子どもが見えた。私だった。あの日の自分に誇れる私であらなければいけない、という強迫観念めいたものがずっと付きまとっている。はじめて自分で決めたことだから、私はそれを守らなければならない。ほとんど呪いだった。
二
本番まで残り二十四時間を切った。学校で配られた入試情報誌には、試験前日も普段通り勉強するべきだ、と書いてあった気がする。そんなことできる人っているのか。うだうだ悩んで結局何もしない時間だけが過ぎるくらいならと、明日の会場の確認も兼ねてW大へと散歩に向かった。
いつ来てもこのあたりの雰囲気はいいものだなと思う。あの講堂は今日も変わらずいつもと同じ場所に立っている。今の私にはそれが決して越えられない高い壁のように見えた。出来るものなら越えてみろ、と言わんばかりに私を見下ろしている講堂を少しだけ憎らしく思った。
「ねえお母さん、私ここで勉強したい」
まただ。またあの日の私がこちらを見ている。あまりにも無邪気で純粋なまなざしを向けてくるんだ。そんな目で見ないでくれよ。あなたのその目にまなざされる度に私は私を諦められなくなって、憧れを引きずり続けてしまったのだ。明日、もし全く解けなかったら。落ちたら。あなたはどんな目で私を見るのだろうか。こんなにも純粋な目をした少女を悲しませるなんて、私にはできない。だめだ。失敗できない。失敗したらもういっそ、と思うほどに、私は追い詰められてしまった。
「昨日の休み、何してた?」
「ドイツ語の勉強とレポートかな」
「うわやっぱドイツ語かあ。試験、だいぶ重たいよね。私、語学苦手だからちょー苦痛! レポートいま何個?」
「五個かな。ほんとに終わらなくて。参考文献も探して読まないといけないからね」
「がんばれがんばれ、応援してる!」
「そっちは? サークルの方で小説書くって言ってたっけ」
「そうなんだよ、小説なんて書いたことない、ちゃんと書けるか不安すぎ!」
「読めるのすごく楽しみにしてるよ、がんばってね」
「期待されてんねえ。がんばっちゃおっかな」
ぐるぐる考える私の頭に、学生たちの声が割って入ってきた。静かにしてくれよ。うるさいなぁ。いいよなあんたたちは。レポートにドイツ語、サークルね。はいはいすごいすごい。わかったから。頼むから静かにしててくれよ。前までは憧れの対象だった学生たちの会話も、今の私にとっては雑音でしかなかった。あの日の私の声も学生たちの会話も、とにかく全てをかき消したくって、私はイヤホンをつけて帰路についた。
三
中学校の制服を作りに行くために、お母さんと一緒に家を出た。歩きながら、お母さんは私の方を見ずに、これでいいんじゃない、と言った。まるで私が落ち込んでるみたいだった。中学受験したの、私の意志じゃないじゃん。あなたが受けろって言ったから受けただけなのに。それに、周りの中学受験した友達みたいにお受験塾に通ってめちゃくちゃ頑張ったとかでもないし。そりゃ落ちるだろ。というか、あなたこそ悔しいんじゃないの?それなのに急に慰めみたいなこと言って娘に寄り添ってますみたいなフリしてさ。別に私落ち込んでないし。私の気持ちなんてなんにもわかってないくせに。頭に浮かぶ言葉を飲み込む。どうせこんなこと言ったってロクなことにならないとわかっている。
からだのいろんなところを測られて、私がこれから三年間着る制服ができあがった。分厚い紙袋に入ったセーラー服を見つめながら、ネクタイ締めたかったし、ブレザーの方がかっこいいのにな、とぼんやり思った。
「このまま歩いて帰らない? 天気もいいし」
お母さんが言う。特にこの後何かやることがあるわけでもないので、携帯を見ながらいいよー、と適当な返事をした。制服屋のある場所は家から電車で三駅のところにあるが、このあたりにくることは少ない。人通りは多いが、外国のような不思議な落ち着きがある。ひとつの建物が視界に入った。大きな時計塔のついた建物で、外側はレンガのようなものでできている。普段目にする繁華街のビルたちの方が圧倒的に大きいはずなのに、私にはそれがやけに大きく、かっこよくてきらきら見えた。その異常な引力に私は思わず立ち止まってしまった。急に立ち止まった私に気づいたお母さんが、数歩先から振り返ってどうしたの、と聞いてくる。
「この建物、何?」
「これ? 確かここの大学の記念講堂かなんかだったと思うよ。結構古くて歴史あるやつだった気がする」
「大学?」
講堂の反対側にある大きな門の向こうには、背の高い建物がいくつも建っている。どれも外国の建物みたい。本で読んだ、招待状が来なくてがっかりした魔法学校みたいだと思った。これが大学。大学ってあの、高校を卒業した後に通う、勉強するところだよな。こんなところで勉強している人たちがいるのか。さっきからここの近くは人通りが多いと思ったけど、みんなここで勉強している人たちか。
大学ってやつは私の心を放してくれない。取り憑かれたようにぼうっと立ち尽くしていると、門から出てくる大学生の会話が聞こえてきた。
「昨日の休み、何してた?」
「ドイツ語の勉強とレポートかな」
「うわやっぱドイツ語かあ。試験、だいぶ重たいよね。私、語学苦手だからちょー苦痛! レポートいま何個?」
「五個かな。ほんとに終わらなくて。参考文献も探して読まないといけないからね」
「がんばれがんばれ、応援してる!」
「そっちは? サークルの方で小説書くって言ってたっけ」
「そうなんだよ、小説なんて書いたことない、ちゃんと書けるか不安すぎ!」
「読めるのすごく楽しみにしてるよ、がんばってね」
「期待されてんねえ。がんばっちゃおっかな」
ドイツ語、レポート、さんこーぶんけん、サークル。知らない言葉ばかり聞こえてきた。これが大学生。サークルってやつでは小説なんて書くのか。それに加えてドイツ語にレポート? すごい。大学って、授業とか全部自分で選ぶって聞いた気がするな。じゃああの人たちはあんなにやりたいことがたくさんあって、自分でそれを選んでまっすぐがんばっているのか。いいな、かっこいい。今まで何かを自分でやりたいと思って始めたことなんてあったかな。幼稚園で習ったバイオリンも、プールも吹奏楽も。何一つ私の意志ではなかった。全部お母さんが決めたものだった。もしもの話だけれど、ここの大学に入れたら。私もいつかあの人たちみたいなまっすぐな人になれるのかな。ここまで考えて、私はお母さんの方に視線を移した。
「ねえお母さん、私ここで勉強したい」
四
迎えた本番の日、朝からご飯も喉をうまく通らない。今日この日ですべてが決まってしまう。落ちても頑張った努力は決して無駄にはならない、といった類の言葉は、失敗を美談として消化して割り切るための綺麗事に過ぎないとすら思う。私が目指してきたのはW大に入ることであって、それが叶わなかった時点で私のやってきたことは失敗になる。なんとしてでも今日、これからの私が今までの私を肯定するために成功させなければならない。
寝坊して遅刻するのはやめろよ、という先生の言葉に則って、余裕をもって会場に到着する電車に乗った。駅に着いて電車を降り、イヤホンをして今日のために作ったプレイリストを再生しながら歩き出す。君は君らしく生きていく自由があるんだ、なんて歌詞が今日はなんだか妙に刺さってしまう。生まれて初めて自分で決めた進んできた道だけど、これでよかったのだろうか。本当はただ、幽霊たちが私を乗っ取って操っているだけなのではないだろうか。こんな風に弱音が出るのはそれまで頑張ってきた証拠だなんて、日本史の先生が言ってたっけ。不安でいっぱいになりながら、会場への道を歩む。
立派な門の前にはすでに開門を待つ人たちの列ができていた。みんな単語帳やら教科書やらを持っていてやたらと賢く見えてしまうのはきっと、私が自分に自信のないせいだろう。背後に立つ講堂からは妙な威圧感を感じる。恐る恐る振り返ってみると、いつもと変わらずそこに立っている講堂の姿があった。まるで私のことをじっと見下ろすように立っていて、決して越えられない高い壁のように見えた。かつては憧れの対象であったはずの講堂が、今は獲物を狙う天敵のように虎視眈々と私を見つめてくる。そして講堂の足元には、あの日の私がいる。そのきらきらしたまなざしを私は直視することができなくて、門の前の通りへと視線を移す。そこにいるのは少し前の私だった。勉強から逃げてここまで足を運び、自分の幽霊に憑かれてしまった時の私だ。目が合う。
あの日の私に顔向けできない。あんなに痛烈に憧れて決めた目標が叶わないなんて、失望される。将来に希望なんてなかったとき、この大学はたった一つだけの希望だったのに。そこに通うことすら叶わないなんて残酷な話、どうして伝えられるのか。だめだだめだだめだ。合格しないと。なんとしてでも、あの日の自分が未来に希望を持てるように、誇れる自分にならないと。
虚ろなまなざしだった。沈んだ声で語りかけてくる。前を向いても目に映るのは自分よりも遥かに賢そうな受験生たちの姿、後ろには威圧感のある講堂と幼い私、通りに目を向けたところで虚ろな目をした少し前の私がいる。退路を断たれてしまった私は俯いて地面と見つめ合うことしかできなかった。地面がぽつぽつと濡れていった。自分の情けなさにも嫌気がさす。
そんな中、鬱々とした頭の中に割って入ってくる声があった。
「昨日の休み、何してた?」
「ドイツ語の勉強とレポートかな」
「うわやっぱドイツ語かあ。試験、だいぶ重たいよね。私、語学苦手だからちょー苦痛! レポートいま何個?」
「五個かな。ほんとに終わらなくて。参考文献も探して読まないといけないからね」
「がんばれがんばれ、応援してる!」
「そっちは? サークルの方で小説書くって言ってたっけ」
「そうなんだよ、小説なんて書いたことない、ちゃんと書けるか不安すぎ!」
「読めるのすごく楽しみにしてるよ、がんばってね」
「期待されてんねえ。がんばっちゃおっかな」
きっとここの学生だろう。今は春休みらしい。ここの大学生の会話は、いつ聞いたってきらきらしている。みんな自分のやりたいことにまっすぐで、その姿を見るたびにうらやましく思う。声がするほうに目を向けると、学生の一人と目が合った。彼女は一瞬驚いたような顔をして、そのあと少し微笑んでからまた話し相手の方に視線を移していった。
開門の時刻になり、いよいよ私は大学の敷地内へと入った。憑かれたようにふらふらと試験教室へと向かい、試験を受けて帰ったはずだ。家に帰ってもなんだか試験を受けたという実感がなくて、狐につままれたような気持ちになりながら眠りについた。
五
担任の先生と、中学卒業後の私の進路について話し合うらしい。この三年間で何回か進路について考える機会があったが、そのたびに頭をよぎるのは今着ているこの制服を作りに行ったあの日の光景だった。中学校で三年間を過ごしてもあの日の記憶は鮮明で、私は以前に比べてより明確にW大に行きたいと思うようになった。私が興味のある芸術や文化、思想などについて学べる学部があるという事も知った。憧れは募るばかりだった。W大に行くまでの三年間を過ごす場所を考えたとき、公立高校にしては珍しく芸術分野について学べるK高校に行きたいと思った。実技の授業も豊富で、ものづくりが好きな私にぴったりだと思った。でも担任の言葉は、私が期待したものではなかった。もったいないと言われた。何が?まるで私が行きたい高校が悪いみたいな。何その言い方。というかなんでこの高校に行った後だとW大には行けないみたいな言い方するの? どこの高校行ったってちゃんと勉強すればW大にだって行けるんじゃないの? 結局生徒本人の意志より学校の進学実績の方が大事なんでしょ。もういいや。また大人は私をわかってくれないんだ。なんて、いかにも中学生らしい、子供じみた反論ばかりが頭に浮かぶ。結局私は言われるがまま、勧められたところを「志望校」と呼ぶことにした。そのあと続いた言葉はあまり耳に残らなかった。
その晩、お母さんと適当にやり取りをする。もったいないだとか、昼にもしたやりとりだから、口から出る言葉には色がなかった。すべてがどうでもよくなってしまった。W大に行くという目標さえ叶えられれば、あとはもうどうだっていいじゃないか。高校なんて、所詮W大までの通過点に過ぎない。
六
共通テストも終わり、W大の入試本番まで残された日数は一か月を切っていた。暗い気持ちで担任との最終面談を待っていたとき、他クラスの友人が私の教室まで来ていた。
「お疲れ、面談でさ、志望校諦めろって。もう一個レベル落とした安全圏の大学にしろみたいな。まぁそう言われるだろうなって思ってたけどね。わかってたけどさあ」
「そっか」
「それ自体は割とどうでもいいんだけどね。別の大学に通っても、最終的に管理栄養士になることさえできれば私はそれでいいんだし。でもさ、さっき同じクラスで同じ大学目指してた子がさ、面談終わって泣いてて。なんか厳しいこと言われたっぽいんだよね。それで私、なんて声かけたらいいかわかんなくて、こっちのクラス逃げてきて」
「なるほどなるほど」
「こんなこと言ったらさ、性格悪いかもだけど、お前何校も受けさせてもらえるんじゃんって思っちゃって。それぐらいで泣くなよって、思っちゃった」
かける言葉が見つからなかった。彼女は、親の意向で国公立大学一校の受験しか許されず、そのためにずっとこの一年頑張っていた。管理栄養士になりたいという立派な夢を持ち、それを叶えるためにひたむきに努力する彼女を私は間近で見ていた。彼女は強い人で、めったに人前で弱音なんて吐かない人だった。そんな彼女が目の前で弱音を吐く姿を見て、私はどうしたらいいかわからなくなってしまった。ただ黙って彼女の話を聞くことしかできなかったのだ。
ふとクラスを見渡してみると、明るさが取り柄の私のクラスには似つかわしくなく、沈んだ顔が多いことに気がついた。まあそれもそうか、と思うと同時に不安な気持ちが芽生えてきた。
担任の先生は、国語科の女性の先生だった。さっぱりとした性格の人で、かといって冷たいわけでもない、とても生徒想いな先生だった。私は一年生の頃からずっと先生の授業を受けていて、そのはっきりとした物言いやユーモアのセンスがとても好きだった。この人みたいになりたいな、と密かに憧れていたのだ。自分の担任が彼女であると知った時はとてもうれしかった。三年生になってから先生との面談の機会が何回かあったのだが、そのたび泣き言ばかり言う私に先生はいつも前を向かせてくれた。でも今日は少しばかり怯えてしまうのだった。
ノックをして教室に入る。向かいの席に腰かけ、先生の方を見る。
「私からお前に言いたいことはな、第一志望とってこいってことだけだ。あわよくば第一志望とは別の学部もとってこい。試験当日に寝坊して遅刻だけはやめろよ」
驚いた。何を言われるだろうと戦々恐々していたのに、いざ先生の口から出てきた言葉はとてもあたたかいものだった。拍子抜けしている私を見て、先生は少し笑って言う。
「お前、これで落ちたら恰好つかないぞ」
ああ、この人は私に期待してくれているんだな、と思った。お前は頑固だからな、と笑っていたのを思い出す。長々と小難しいことを言うのではなく、短くて、でもそこに期待や信頼の詰まった言葉をかけてくれるのが先生らしかった。
面談を終えて、帰りの電車を待つホームで友人との会話や先生からの言葉を思い出す。落ち込む人も多いなか、先生は私に期待と信頼の言葉だけをかけてくれた。それがどうしようもなくうれしくて、自分は幸せだなと思った。「お前ならできる」と声をかけてくれる人たちに囲まれている。だめだったら。落ちてしまったら。あの日の自分だけでなく、周りの期待も裏切ることになってしまうの?怖い。たくさんの幽霊が私に憑いて、代わる代わる「失敗したらどうするの?」と囁いてくる。心がぐらぐら揺れる。視界に映る線路が霞む。
七
大学でできた友だちが入ったというサークルのフリーペーパーを見せてもらう。この前発行したばかりなんだ、先輩たちの企画がすごくてね、と彼が嬉しそうに話してくれるのを聞きながらパラパラとページを捲る。すごいなと思った。私は一瞬で心奪われてしまった。もともとデザインに興味のあった私は、彼に自分もこのサークルに入りたい旨を伝えて入会した。入った後も、同期や先輩に恵まれ、なんだか嘘みたいに充実した日々を過ごすことができている。こんなに幸せな日々を過ごしてしまっていいのだろうか、いつかこの幸せが全部壊れてしまう日が来るのではないかと怯えてしまうくらい。きっと去年の私が、一年後こんなに幸せな日々が待っていると知ったら驚いてひっくり返ってしまうんじゃないだろうか。同期のみんなとご飯を食べに行くまでの道すがら、隣を歩く彼に向かって私は尋ねる。
「昨日の休み、何してた?」