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【インタビュー】解釈と解釈のはざまで|映像作家 iga kitty

2023 11/08
VOL. ここにいる インタビュー
アーティスト 音楽
2023年11月8日
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 創作物は、作り手から受け手にわたる過程の中で、様々な人の手を経由する。そうして創作物には多種多様な解釈が加えられてゆく。楽曲に映像をつけ、世界観を演出するミュージックビデオ(MV)もそうした創作物の一つだ。

 MVは、アーティストがアイデンティティとなる世界観を示すためのいち手段となる。とはいえ、MVは決してアーティストだけの場ではない。そこには複数の立場からの、多様な「読み合い」が存在する。

 今回お話を伺ったiga kittyさんは、MV制作を得意とする映像作家だ。これまでTOOBOE、カンザキイオリ、KAFUNÉなど数々のアーティストのMVを制作してきた。アーティスト、映像作家、そして視聴者。それぞれの解釈が重なり合う、MVという空間を演出する手腕に迫る。


―iga kittyさんは映像作家としてどのような活動をしていますか。

 楽曲を作っているアーティストのミュージックビデオ(以下、MV)を制作するのが主な活動です。それに付随してジャケットやグッズのデザインも行っています。

―iga kittyさんの映像には、ご自身の写真を加工して作った異形頭の人物やコラージュが特徴的ですが、映像作品の制作にあたって意識していることは何ですか。

 映像内の違和感と、MVというジャンルの中での違和感の、二種類の違和感を意識しています。映像内の違和感ですと、現実世界ではありえないモチーフの組み合わせをするなどです。異形頭もそうですが、他に例を挙げるとするならば、コーヒーを入れようと思ってポットを傾けると、コーヒーではなく夜空がこぼれて落ちてくる。傘をさすと傘から雨が降ってくるなど。それってありえないじゃないですか。すごいな、なんだこれはという違和感がある。そういう違和感が気持ちよくて、 印象に残るなと思っています。

 MVというジャンルの中での違和感は、メジャーな作風から外れることで生まれる違和感です。例えば、メインのイラストを映えさせるためにエフェクトやカメラの動き、テキストの動きを入れようというのが、わかりやすく流行している作風です。そういう王道からあえて外れる。イラストよりも実写を多用する、テキストモーションに頼らない方法を模索する、人物はあえて一切出さないなど、そのような違和感の出し方を大事にしています。そして、どの技法にも共通していることとして、純粋に面白いと思えるかどうか、 想像したときに自分がワクワクできるかどうかも大事にしています。

―そうした独特な作風と、依頼された楽曲との作風が必ずしも一致するわけではないと思います。その二者間の作風を、どのようにすり合わせているのでしょうか。 

 自分の作風を理解していただいた上でのご依頼が多いので、そこにあまり影響はございません。iga kittyはこういう作品を創る作家、とみなさん見てくださっているので、自分の色を出したいという点で頭を悩ませることはあまりないです。

iga kittyさん制作の映像(カンザキイオリ『人間じゃない癖に』より)

―MV制作を依頼された際に、共感や受け取ったメッセージをさらに深めるために、楽曲を自分から解釈しにいくこともありますか。

 ありますね。どう作ろうかということを決める前に、最初は何も考えずに聴きます。一人のリスナーとして聴いて、その中で、印象に残ること、自分としてはここが一番刺さると思ったところをひとつの軸にします。その軸に沿って映像化するには足りない部分を補うときに、歌詞を熟読して、伝え方、思い、映像化する際の捉え方などを能動的に解釈しにいくフェーズが毎回あります。

―いち聴き手として音楽を聴くのと、そこから映像制作をするために音楽を聴くのにはどんな違いがありますか。

 いち聴き手として聴くときは直感的で、映像を作るときの解釈はものすごく論理的です。聴き手として聴くときは、なんとなくでいい。そこに何か理由や、映像にしやすいなどを考えることはないです。対して映像を作るときは、画面を想像しながら一番映えるものや、次のシーンにつながるものを楽曲から感じ取った複数の印象の中から選んで解釈します。そういう頭を使うか使わないかという違いがあります。


―楽曲から直感したものを、論理的に掘り下げる。そうして整頓した自分の解釈を、依頼された映像に反映させるのですね。 

 もちろん、その楽曲を作った方の伝えたいメッセージはMVを通しても伝えたいと思うので、そこは揺るがないです。「こういうモチーフがキーアイテムなので絶対に映像に入れてください」というお願いがあった場合、それが大切だという前提で楽曲を聴き直したりもします。その中で、自分だから伝えられることや、自分でなければ出せないものを出したいと思っています。それをやらないとiga kittyにご依頼をいただく意義が薄れてしまうと感じます。

 例えば、強い敵に真正面から立ち向かうぜ、というアーティストのメッセージが込められた楽曲のMVを作る際は、自分が大切にしているジャイアントキリング要素のある漫画からアイデアをいただいています。他にも内省的な曲、もう本当に辛くてどう生きていいかわからないという気持ちを表した楽曲だった場合は、自分が少し辛かった時期のことを思い出して、そのままのイメージを舞台にすることもあります。

 そのようにして、僕のなかにあるものを映像に取り入れて、iga kittyだからこうなったよっていう形になるように意識しています。 

―iga kittyさんにとって、クライアントとご自身との関係性はどういったものだと思いますか。

 プレゼントを贈り合う仲のいい友人のように思っています。プレゼントを渡そうとしている相手や、その人が過去にどんなプレゼントを贈ってくれたのかということが、クライアントやその人の楽曲にあたります。仲のいい友人にプレゼントを贈る際、わざわざ何がいいかと聞くことはどこか野暮だと思っていますし、面白くないなと思ってしまいます。自分が好きな指輪を友人にも気に入ってもらえたら嬉しいし、とてもよく似合うと思う。だから自分はこれを贈りたい。というような感覚が、お仕事として映像を作っているときの感覚にすごく近いです。言葉だけではないところでコミュニケーションを取るという部分と、そこにある程度自分勝手さのような、自分ではないといけない要素のようなものが含まれているという点が、似ているなと思います。

―そうして生み出された作品は、クライアントと映像制作者の意図や解釈が混ざり合った一つのものとして受け手に渡りますが、そこから新たな視点が生み出されることもあると思います。

 それがすごく魅力だと思います。もちろん作り手側の意図が伝わると嬉しいのですが、違う解釈が生まれてもそれはそれで嬉しいです。その見方もできるのかという喜びがあります。自分にはないと思っていたものが自分の作品から生まれている状態なので、すごく生産性がありますし、 違う景色を見せてくれてありがとう、という気持ちになります。

―クライアントと映像制作者の間にある、プレゼントを贈り合う仲のいい友人のような関係性は、楽曲とMVを作るチームと、それを観たり聴いたりする受け手との間でも成り立つと思いますか。

 成り立ちますね。例えば、どのくらい時間をかけていただいたのかもわからないほど、ものすごく細かく描いていただいたファンアートを見たときには、自分は一輪の花をあげただけなのに、相手は花束をプレゼントしてくれたというような感覚で感動します。以前、友人から様々なアクティビティから好きなものを選んで体験できるカタログをいただいて、すごいトリッキーでオシャレで、そういう方法のプレゼントもあるのだなと思ったことがありました。新しい解釈をしていただいたときの気持ちはそれに似ています。何かを伝えたい、何かを表現したいという点で、MVも楽曲もコミュニケーションの一つだと思います。しかし、言葉ではないコミュニケーションだからこそ、自分の想定とは違うプレゼントが贈られたりというように、いい意味でブレが生まれてきます。そういうところが面白いと思っているので、それをちゃんと生かすような、肯定する立場で創りたいなと思っています。

―映像と音楽が合わさることで生まれる相乗効果が作り手、受け手の解釈に与える影響はどのようなものでしょうか。

 音と歌詞に視覚的な情報が合わさると、解釈の幅が広がります。MVのこの部分を観るとサビはこういう感情の捉え方もできるよね、というような音楽だけを聴いていたときとは違う見方や解釈ができると思います。色々な解釈や感じ方をして楽曲をより味わえるきっかけを、映像が提供できるのではないかと考えています。

 あとは解釈の深さの話になるのですが、楽曲から受け取れるものと映像から受け取れるものが近しかった場合は、深いところで共感できるので、心に響くということはあると思います。例えば、作曲者が早朝のえも言われぬ空気感を楽曲で表現し、自分も同じ空気感を感じ取って早朝にしかない空の色、収集に出されたゴミ袋、人がまばらな駅前、カラスの鳴き声等を映像で表現したとします。

 映像は言葉では表現が難しいことや、多くの情報を一瞬で伝えられるので、似た解釈を持った人がMVを見たとき、その解釈を深化できるのではないでしょうか。また、作り手と受け手が汲み取ったものが一致したとき、気持ちが通じる喜びは相乗効果的に大きくなると感じます。

―最近はSpotifyなどの音楽サブスクリプションサービスが普及していて、MVを観る機会があまりないと感じます。iga kittyさんご自身は、どのようにサブスクとYouTubeを使い分けているのでしょうか。

 音楽を聴こうと思ったときはサブスクで聴きます。MVとして楽しもうと思ったときはYouTubeで観ます。個人的な傾向で言うと、音楽のみで聴くときは自分に何かを課さずに純粋に直感で聴きたいときで、MVを観るときはもっとこの曲を語れるようになりたいなど能動的な姿勢であることが多いです。

―サブスクで音楽を聴くにとどまってしまって、MVまで観にいかないことも多くあると思います。そういう現状についてはどのように考えていますか。 

 MVには音楽も映像もあるので、すごく純粋に考えると情報量は二倍になりますよね。そのため、二倍喋りかけられているような強いコミュニケーションが生まれると思います。それがものすごく楽しいときもあれば、疲れてしまうのでもっとゆっくり話したいと思うときもあります。なので、こちらからMV観てよと勧めるよりも、気が向いたときにMVを観に来てね、来てくれたらすごくもてなすからねというスタンスをとっています。観たいと思って観ていただいたときに、新たな発見をしてくれたり、より曲を好きになってもらうことを考えています。そして、MVを観たいと思ってくださる人が、一定数いると感じているので、現状危機的だとは感じてないです。

―実際のところ、MVは全然観ない、観なくていいと感じている人もいると思いますが、そういう人についてはどう考えますか。 

 そういう人たちはおそらくMVの魅力がわからないってことですよね。それはどうにかしたいと思ってしまうかもしれません。もしも、MVは一切見ないという選択をしている方がいるとするならば、MVには楽曲だけでは味わえない色々な楽しみ方がありますよと伝えたいです。そのために、できるだけ違うメディア、 違う時間、違う場所、自動的に情報が入ってくる場所などに、もっと自分のMVが出るように頑張らなきゃいけないなと思います。

 ―最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

 MVをものすごく自由に観てください。解釈の一致と不一致を楽しんでいただきたいです。

iga kitty

映像クリエイター。ダークで不気味な雰囲気の中にあどけない可愛らしさが残る独創的な世界観が特徴。イラストやコラージュを用いた現代アート要素のある映像を得意とする。映像制作の他、VJやジャケットデザイン・グッズデザイン等を手がけることもある。

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