11月4日の「早稲田祭2023」にて、“石崎ひゅーい弾き語りライブ『アンコールあのころ』presented by WASEDA LINKS”が開催された。大教室での弾き語りライブ&トークショーで観客を魅了した。
主催したのは、フリーペーパー・イベント・Webを用いて様々な情報を発信している公認学生団体の早稲田リンクス。同サークルが音楽イベントを主催するのは、「早稲田祭2019」での“きゃりーぱみゅぱみゅ×早稲田アリーナ わせだでいやほい presented by WASEDA LINKS” 以来5年ぶりとなった。
ぎっしりと詰まった観客からの拍手に包まれながら登場した石崎は、会場をぐるっと見渡し「みんなの顔がみえなくて…少し明るくしてもいい?」と教室の電気のスイッチを慣れた手つきで操作。その自由奔放さに会場は穏やかな雰囲気に包まれ、より盛大な拍手とともにスペシャルな公演は幕を開けた。
アコースティックギターを抱えて始まった一曲目は本イベントのテーマソングでもある“アンコール”。曲の冒頭で石崎が観客に手拍子を促すも、「ちょっと手拍子はやいよ!」とすぐに観客にツッコミを入れ、会場の笑いを誘った。
続く、“ダメ人間”“あなたはどこにいるの”でさらに会場が熱を帯びると、「多分この教室なら…」とマイクを通さない生の声で“お前は恋をしたことがあるか”を披露。一人一人に語りかけるように歌い上げる姿は、観客の胸に強く刻まれたことだろう。教室という密な距離感だからこそよりダイレクトに響く歌声に、本イベントでのテーマである【同じ時間・空間に音楽を共有することの大切さ】を強く感じた。
さらに、キーボードに移動した石崎は「友達に早稲田出身のアーティストがいて。今日はその友達の歌を用意してきました。」と同じくシンガーソングライター・小山田壮平(註1)氏との関係を告白し、andymoriの“青い空”をキーボードアレンジでカバーした。石崎らしく深みの増したアレンジが、静寂の中で贅沢に響き渡った。
会場一体が余韻に浸るなか、「よし、電気つけるか!」と再び照明が点けられると会場の雰囲気も一転。石崎は「声聞かせてもらえますか?」と、続く“夜間飛行”で観客とのコールアンドレスポンスを誘い、密な空間ならではの一体感を引き起こした。曲の最後には「何度でも帰ってくるからな早稲田!」とシャウト。勢いのままに続く“さよならエレジー”で会場の盛り上がりは最高潮に達した。
ライブパートの最後には「知っていたら一緒に歌ってください」と観客を誘い、“虹”を披露した。観客を巻き込み一体となって歌う様子は、1つの作品を作っているかのようであった。石崎は喜びを噛み締めるように「ありがとう」と告げ、ライブパートは終幕した。
再び照明が点いてはじまったのは、石崎のイベントではレアなトークショー。質問コーナーでは、大学生限定SNSアプリ「Dtto」にてあらかじめ大学生から募集した質問に答えた。
「夢を見つけるために大学に入りましたが、やりたいことが見つけられません。なかなか夢を見つけられない学生にアドバイスをください。」という質問に対し、石崎は「これは僕の意見ではあるけど、大学って夢を見つけにくるような場所ではないと思っている。」と返答。「どちらかというと、『夢って一体なんだろうね』って語り合える友達を作りに来る場所なのかなって。あとは、何もなくてめちゃくちゃ堕落するみたいなことをし合える友達を見つけにくる場所なのかなと思う。」と語った。
さらに「夢を叶えた時に、人間って『もっと』って思うんだよね。だから案外、成し遂げたりすることよりも、その瞬間に誰といるか、誰といたいかなのかなと思って。 そういう大切な人を作る場所なんじゃないかなと思う。」と回答。石崎の人生のスタンスともとれるこの回答には、大学生に限らず会場にいた観客の心に深く刻みこまれたはずだ。
観客から「現時点での目標到達地点は?」と聞かれると「正直最近は現実的で、大きな漠然としたことよりも1歩1歩を大事にしたいって思っている。」と告白。さらに、自身の音楽に対して「天国に1番近い音楽を作りたいなと思っている。人が死ぬ前に聞きたくなる音楽を作れるアーティストでいたいなっていうのは、音楽を自分で作り始めた時からなんとなくずっとある。」と言及。彼が音楽活動を始めた頃から肌身離さず大切にしてきた思いを少し垣間見ることができた気がした。
トークショーの最後には、10月上旬に早稲田リンクスと行った共同SNS企画「石崎ひゅーいと!アンコールキャンパスライフ!」のロケで石崎が厳選した古着のプレゼントコーナーを実施。当選者をくじ引きで決める際には、より一層観客の高揚感が湧き上がった。
イベントの最後には「また早稲田祭に帰ってくるんで!またお願いします!リンクスのみんな、本当にありがとう!」と添え、笑顔で手を振りながら「アンコールあのころ」は幕を閉じた。
イベントは終始、教室ならではの観客と石崎との温かい距離感を存分に感じられる貴重な空間であった。彼自身もこのイベントを通して、学生時代の自身をアンコールできた瞬間が多くあったはずだ。学生のエネルギッシュなパワーを火種に、今後の彼の音楽活動がますます飛躍することへの期待が膨らむ。
(註1)ミュージシャン、シンガー。2007年〜2014年までandymoriのギター・ボーカルとして活躍。現在はALのギター・ボーカルやソロ活動を行っている。
【セットリスト】
1.アンコール
2.ダメ人間
3.あなたはどこにいるの
4お前は恋をしたことがあるか
5.青い空(andymori カバー)
6.夜間飛行
7.さよならエレジー
8.ピリオド
9.虹
【石崎ひゅーい】
1984年3月7日生まれ。茨城県水戸出身。本名。シンガーソングライター。
両親の影響で幼少の時からトム・ウェイツ、デヴィッド・ボウイなどを聴いて育つ。
中学からバンド活動を開始。当初よりヴォーカルを務める。高校卒業後、大学で結成したバンドにてオリジナル曲でのライブ活動を本格化させる。その後ソロシンガーに転向し、精力的なライブ活動を展開。
2012年7月25日「第三惑星交響曲」でメジャーデビュー。各メディアのパワープッシュを獲得、鮮烈なデビューを果たした。2015年6月公演(東京・大阪)の劇団鹿殺し「彼女の起源」に客演出演で初の演技に挑戦。2016年12月公開の映画「アズミ・ハルコは行方不明」で、スクリーンデビュー。その後、映画「そらのレストラン」や、ドラマ「左ききのエレン」に出演するなど、役者としても存在感を放った。
2016年11月石崎ひゅーいを代表するバラード曲「花瓶の花」のMV(監督:松居大悟、出演:蒼井優、村上虹郎)が、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016MUSIC VIDEO部門で優秀賞を受賞。
菅田将暉に楽曲提供した「さよならエレジー」(日本テレビ系日曜ドラマ『トドメの接吻(キス)』主題歌)と「虹」(映画『STAND BY ME ドラえもん 2』主題歌)がストリーミング2億回再生を超える大ヒットを記録。他には私立恵比寿中学へ「ジャンプ」、矢部浩之へ「スタンドバイミー」を楽曲提供している。
2022年7月、デビュー10周年に突入し、10th Anniversary LIVE 『、』を恵比寿リキッドルームで開催。盟友菅田将暉がサプライズ登場し、コラボ曲「あいもかわらず」を初披露した。2023年4月~放送のテレビアニメ「Dr.STONE NEW WORLD」第3期オープニングテーマとして書き下ろした「ワスレガタキ」を発売。「ワスレガタキ」のMVには吉沢亮が出演し話題に。7月26日には10周年アルバム「宇宙百景」を発売。2024年5月10日に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて初のホールワンマンライブ‘石崎ひゅーい LIVE 2024「宇宙百景」’の開催が決定した。
【ライブ情報】
石崎ひゅーい LIVE 2024「宇宙百景」
2024年5月10日(金)
東京国際フォーラム ホールC
開場18:00/開演18:45
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 (平日 11:00~18:00 / 土日祝 10:00~18:00)
★チケット受付情報
オフィシャル先行受付中(抽選)
エントリー期間:11月21日(火)19:00〜12月6日(水)23:59
お申し込みはこちらから⇓⇓⇓
https://l-tike.com/ishizakihuwie