11月4日の「早稲田祭2023」にて開催された“石崎ひゅーい弾き語りライブ『アンコールあのころ』presented by WASEDA LINKS”。大教室での弾き語りライブ&トークショーで観客を魅了した直後の石崎ひゅーいにインタビューを行なった。彼はどんな思いでステージに立ったのか。彼なりのライブへの向き合い方を探る。
―ライブを終えた今の率直な感想をお願いします。
ちゃんと学園祭に出ることは今年が初めてだったから、学園祭に出ること自体に緊張感があったんです。学生のみんなとは年齢も離れていて、ちゃんと思いが伝わるか心配していたんだけど、そういうのを全部打ち崩すぐらいみんなが良い反応してくれて、温かい空気を作ってくれたからすごくやりやすかったです。楽しかったです。ありがとうございました。
―「アンコールあのころ」のセットリストを組むにあたって意識したことはありますか。
今日はね、恋愛にしても、生きるっていうことにしても、学生時代に思っていたような気持ちを意識して組みました。だから自分の曲の中でもなるべくみんなと近い心持ちの歌を選んだつもりです。
―ライブを見ていて、自分の手で照明を切り替えるなど、石崎さん自身の自由奔放さがすごく印象的でした。
そうなんだよね、悩み所でもあるよね。暗い方がさ、かっこいいかもしれないじゃん。ただやっぱり、人の顔を見て歌った方が歌えるんですよ。ライブって、演奏している側だけじゃなくて、オーディエンスも含めてどんな空間にするかっていうのが大事だと思っていて。遠くにいる観客の顔まで見たくて、それで照明をつけちゃったんですけど、でもみんながついてきてくれたし、良かったと思っていますね。
―そのほかに、観客とコミュニケーションをたくさん取っていたのも印象的でした。
ライブが終わったときに「楽しかったな」と思ってもらえたらいいなっていうのはあります。ライブのときはみなさんに楽しんでほしいし、自分の人生に照らし合わせながら、僕の音楽を聴いてもらいたい。ライブを通していろんな感情になってほしいという欲望でいっぱいなんです。コミュニケーションも、そのためにやっていることの一つで、今日もそれができてよかったです。
あとは石崎ひゅーいのファンって、多分僕と似ていて、あんまり外に感情を出さない人見知りな人たちが多いと思うんですけど、最近のライブは、みんなとにかく全力で楽しもうぜ!っていうテンションになることを意識しています。自分としてはファンと一緒にライブを作り上げていっている感じがすごく心地いいんですよね。
―観客と一緒に歌うということも、みんなでライブを作るという点で意識していることなんですか。
そうですね。やっぱり“虹”とか“さよならエレジー”とかは知っている人も多いから、 一緒に歌ってくれる人がいっぱいいるんです。みんなで歌うというのは、自分がライブをしている最中でもすごくアガる瞬間ですね。
―イベント後半の学生との質問コーナーはいかがでしたか。
どれも純粋で素敵な質問でしたね。今まで色々な場所で取材をしていただきましたが、今回みたいな質問ってなかなか出てこないから、答えるのも新鮮で、すごく良い経験をしたなと思いました。
―質問への回答の中で話していた「天国に近い音楽を目指している」とはどういうことでしょうか。
僕がちゃんと自分の音楽をこの世に残そうって思ったきっかけって母親なんです。僕の音楽で、亡くなった母親に教えてもらったアイデンティティみたいなものをこの世の中に知らしめたいみたいな気持ちがあって。あとは、天国に手紙を書いているみたいな気持ちも自分の核として持っています。だから音楽が、次元みたいなものとか、生きているとか死んでるとか、そういう境界を飛び越えていったら素敵だなって思って作っていますね。
―昔からトム・ウェイツやデヴィッド・ボウイを聴いて育ったと話していたように、やはりご家族の影響はすごく強いですか。
そう、強いです。小さい頃は、家庭で当たり前のように流れている音楽で、特に気に留めることもなかったんですけど、大学生くらいになってから、あの時流れていた音楽は、どういう人が歌っていて、どういう歌詞なのかがすごく気になるようになりました。そこから掘り下げていって、こういうアーティストになりたいっていう自分のモデルになっていったって感じですね。
―イベント開催前に早稲田周辺で行なった共同SNS企画「石崎ひゅーいと!アンコールキャンパスライフ!」で、特に思い出に残っていることはありますか。
とにかくめちゃくちゃ歩いた(笑)。びっくりしたね。あっちこっち行って、また戻ってきて。お店の都合があるから仕方ないんだけど。でもあんなに歩くことないから、ロケのおかげで健康的になったっていうか、体に良かった(笑)。
―歩いている最中も学生とたくさんコミュニケーションを取っていましたね。
僕自身人見知りではあるんだけど、基本的に人と接していたいタイプの人間で。変な話、特に学生のみんなって僕からすると宇宙人みたいな感じなのよ。やっぱり年齢が離れているのもあって、僕らが大学生と触れ合うことってめったにないんですよね。だから、一つ一つが新鮮で刺激を受けました。
例えば、イベントで使った照明二台は学生のスタッフさんが家から持ってきてくれたって聞いて。あれをつけてメイクするって言っていたからね。「今の大学生はあんなにどでかいライトを二個も家に持ってて、それでメイクするのか!」みたいなさ(笑)。そういうのとか一つ一つ面白かったです。
―FCブログやSNSなどで、今回のイベントの準備を『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(註)に例えて言及していましたが、文化祭の準備をしている時間って楽しいですよね。
楽しい。文化祭って、始まらなければいいのにって思います。準備だけずっとやっていたいなって、みんなでロケの撮影した時にすごく感じていました。終わっちゃうから文化祭は素敵なんだと思うんですけど。みんなで準備をしている様子が素敵だなと思いました。もう二度と大学生には戻れないのかって思いながら。
―今回のイベントにはどういった気持ちで臨みましたか。
リンクスのみんなのおかげで、ただ学園祭に呼ばれて出るってだけじゃなくて、みんなで一つの目標に向かって一丸となってやるっていうイメージでこのイベントに臨めたかな。なかなかそういう気持ちでライブできることって少ないから、いつもこういう気持ちでライブやりたいなって思いましたね。
―オーディエンスと一緒に盛り上がろうという意識や、スタッフとも一丸となって作り上げようという意識が強く、ライブはみんなで作るものだという石崎さんの思いを感じます。
やっぱりひとりで歌を歌っていても、それは音楽じゃないと思うんだよね。僕は、聴いてもらって初めて音楽になると思うの。根本にはそれがずっとあります。デビューしたての頃は、悲しいとか切ないとかの感情を音楽にぶつけて発散するようにライブをしていたんです。でもだんだんそれも寂しくなって、ひとりぼっちな感じがしてきて。それから音楽は、相手に音が届いた瞬間に音楽になるっていう考えでやっていきたいなって、そうしないと寂しいなって思うようになりました。
だから、コロナの時は難しかった。だけど、そのおかげで気づいたこともいっぱいあって。それこそ、やっぱり人がいてライブなんだよなって、人がいて音楽なんだなって改めて気づいた。そう再確認したアーティストはすごく多いと思うんですけど、僕もそうでしたね。今の方が、人の前で音楽をやれる喜びを感じながらライブをしているんじゃないかな。
―そういったみんなで作るライブを通じて、来てくれた観客にはどんな気持ちになって帰ってほしいですか。
また来たいって思ってほしいよね。それが一番かな。楽しいとか、何か自分の人生と被ったものがあったとか、背中を押してくれたとか、理由はなんでもいいんだけど、とにかくもう一回来たいって思わせるライブをしたいし、そう思ってほしいなって思います。
(註)高橋留美子の漫画「うる星やつら」を原作とした、1984年公開の劇場版オリジナルアニメーション作品。
石崎ひゅーい
1984年3月7日生まれ。茨城県水戸出身。本名。シンガーソングライター。
両親の影響で幼少の時からトム・ウェイツ、デヴィッド・ボウイなどを聴いて育つ。
中学からバンド活動を開始。当初よりヴォーカルを務める。高校卒業後、大学で結成したバンドにてオリジナル曲でのライブ活動を本格化させる。その後ソロシンガーに転向し、精力的なライブ活動を展開。
2012年7月25日「第三惑星交響曲」でメジャーデビュー。各メディアのパワープッシュを獲得、鮮烈なデビューを果たした。2015年6月公演(東京・大阪)の劇団鹿殺し「彼女の起源」に客演出演で初の演技に挑戦。2016年12月公開の映画「アズミ・ハルコは行方不明」で、スクリーンデビュー。その後、映画「そらのレストラン」や、ドラマ「左ききのエレン」に出演するなど、役者としても存在感を放った。
2016年11月石崎ひゅーいを代表するバラード曲「花瓶の花」のMV(監督:松居大悟、出演:蒼井優、村上虹郎)が、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016MUSIC VIDEO部門で優秀賞を受賞。
菅田将暉に楽曲提供した「さよならエレジー」(日本テレビ系日曜ドラマ『トドメの接吻(キス)』主題歌)と「虹」(映画『STAND BY ME ドラえもん 2』主題歌)がストリーミング2億回再生を超える大ヒットを記録。他には私立恵比寿中学へ「ジャンプ」、矢部浩之へ「スタンドバイミー」を楽曲提供している。
2022年7月、デビュー10周年に突入し、10th Anniversary LIVE 『、』を恵比寿リキッドルームで開催。盟友菅田将暉がサプライズ登場し、コラボ曲「あいもかわらず」を初披露した。2023年4月~放送のテレビアニメ「Dr.STONE NEW WORLD」第3期オープニングテーマとして書き下ろした「ワスレガタキ」を発売。「ワスレガタキ」のMVには吉沢亮が出演し話題に。7月26日には10周年アルバム「宇宙百景」を発売。2024年5月10日に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて初のホールワンマンライブ‘石崎ひゅーい LIVE 2024「宇宙百景」’の開催が決定した。
【ライブ情報】
石崎ひゅーい LIVE 2024「宇宙百景」
2024年5月10日(金)
東京国際フォーラム ホールC
開場18:00/開演18:45
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 (平日 11:00~18:00 / 土日祝 10:00~18:00)
★チケット受付情報
オフィシャル先行受付中(抽選)
エントリー期間:11月21日(火)19:00〜12月6日(水)23:59
お申し込みはこちらから⇓⇓⇓
https://l-tike.com/ishizakihuwie