対話性の美術
われわれが美術作品を鑑賞するとき、その「鑑賞する」という言葉が「観る」という行為を指していることに違いはない。しかし、「観る」という鑑賞者の一方的な行為にとどまらず、作品と鑑賞者が「関係し合う」ことを求めている作品が存在する。そうした作品は、「作品が鑑賞者に視覚的な情報を与える」ことと「鑑賞者が作品に対してさまざまな思考を巡らし、何らかの形で関係を持つ」ことからなる相互作用の反復の中で昇華していくのである。芸術家たちは、これまでさまざまなアプローチで作品と鑑賞者の関係性に向き合い続けてきた。