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【インタビュー】Stand by you|保護司 風間暁

2021 11/06
VOL. 対話の向こうに インタビュー
保護司
2021年11月6日
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保護司という仕事をご存じだろうか。保護司とは、非行少年の更生保護の手助けをするボランティアだ。保護司は高齢の方が任命されることが多い。しかし、風間暁さんはまだ20代で、若くして保護司となった。風間さんには幼少期に虐待を受け、その後非行に走ったという過去がある。

風間さんと非行少年たちの間にはどのような対話があり、対話を通じていかにして更生へと導くのか。対話の持つ可能性を探る。

風間暁:元薬物依存症の保護司。特定非営利活動法人ASKでは社会対策部薬物担当として、ソーシャルアクションや講演などを行なっている。令和2年度「こころのバリアフリー賞」を個人受賞した。文筆、写真の分野でも活躍している。サードプレイスカフェ「ごちゃまぜCafeメム」代表。

「オモレ-大人」として

—— 風間さんが保護司になった経緯を教えてください。

困難な幼少期を過ごしてきました。親からの虐待、暴力はあたりまえで。

ガムテープで口ふさがれて、両手足後ろで縛られてボコボコっていうのは普通でしたね。

父が飲酒運転で事故を起こし、加害者家族として非難されたあと、非行に走って補導されました。

施設から出てきたあとには薬物依存症になってしまって。

私はそこから立ち直った経験があるので、その経験を彼らに還元したいという思いがあります。

不良になると周りの大人から「悪いことはやめろ」って言われるんですよ。

だけど悪いことなのはわかってやっているから、説教をされると「うっせバーカ」って言い返したくなるんです。そ

うした説教をしなくていい立場が保護司なのではないかと思います。

言葉が悪くなりますが、若い人は、わざわざ年配の保護司に話を聞いてほしくはないと思うんですよ。

共通言語が少ないから、一緒にいても刺激は少ないじゃないですか。楽しくない。

非行をする子たちの多くは、仲間と集まって、刺激的な遊びをするのが楽しいんですよ。

だから保護司のところに行くのも、「めんどくさいけど、またパクられるの嫌だから行かなきゃ」というのが本音だと思います。

でも、「楽しいから行きたいな、こいつだったら話してもいいな」と思ってもらえるような保護司側の姿勢があれば、少年たちがもっと良い時間を過ごせるんじゃないか。

私だったらそれができるなと思ったんです。

—— 担当する少年たちにはどのような特徴があるのでしょうか。また、なぜ非行をしてしまうのでしょうか。

大人たちから否定され続けて心に傷を負っていることが多いです。虐待などの過酷な環境で育ってきたケースも少なくありません。

非行をしてしまう背景は、人によってさまざまです。

私は、大人たちから責められ続け、居場所はどこにもないなかで、非行グループと出会いました。

初めてわかり合えた人たちがやんちゃだっただけ。そこが居心地良かったんです。

みんなと一緒にいたかったし、みんなと悪さしているときだけ解放されているような気がしました。

また、私の友人の場合、家庭が崩壊していたことが原因の一つでした。ご飯なんか出てこない。

学校の給食だけが唯一の食事なんですけど、給食費も親が払っていないから、周りから嫌なことを言われてしまう。

自分の態度も良くないから、先生たちから怒られて、学校が居心地の悪い場所になっていくんです。

それで学校に行きたくなくなって、コンビニに食べ物を盗みに行く、そうしないとご飯が食べられないから。

でも見つかって補導されて。「ほかに良い方法ないかな」と考えた結果、カツアゲして……。

健康な状況に生きていないと、健康な判断はできないですよね。

—— 非行少年たちとはどのように信頼関係を築いているのでしょうか。

まずは仲間だと思ってもらうことを大切にしています。

そのための第一歩として、とにかくカジュアルに話しやすい雰囲気をつくるように心がけています。

例えば、着るTシャツにもこだわっているんです。

私はよくバンドやゲームのシャツを着るのですが、それを見て「え、○○知ってんの?」と声をかけてくれれば、仲間意識が生まれますよね。

ほかにも、非行をしていた私ならではだと思うんですが、私、薬指に隠せない刺青があるんですよ。

年少リングといって、少年院に入った人が自戒や誇示のために墨で線を入れる文化の遺物です。

少年たちは年少リングを見ると、「この人もそうだったんだ」って察知してくれます。

それを言わない美学みたいなものもあって、めんどくさい文化なんですけど(笑) 年少リングや根性焼きがあることで、非行の過去は言わずとも伝わる。

すると自然と仲間意識を抱いてくれるので、身なりのかっちりした大人より、心理的な距離は近くなるかもしれませんね。

私もそうだったからわかるんですけど、非行少年たちにとって、偉そうな大人は基本的に敵なんですよ。

親をはじめとする、自分より立場が上の、権威ある大人たちにすごく傷つけられてきたので。

私の場合はそれに対する復讐や反発心も非行の動機だったので、そういう大人の存在が目に入るだけで腹が立ちました。

特に、社長とか校長などの社会的地位が高い人から説教や講釈をくらうと、「お前に私の何がわかるんだよ」といつも思っていました。

子どもたちも、当時の自分と同じかもしれないなと思うんです。

—— 彼らとはどのような立場として関わるのでしょうか。

立ち直りを志す仲間でありつつ、大人の友達として関わっていますね。

というのも、何かあったときに、一番先に相談するのって友達じゃないですか。

「彼氏と喧嘩した」「学校のテストどうしよう」とかいちいち親や先生に言わないですよね。

けれど保護司である以上、「ただの友達」では不十分です。

学校や周りのやんちゃしている友達たちよりも、モノを知っていて、適切な道徳観のある、健康的な「大人のオモレ-友達」を目指しています。

——「あ、いま心を許してくれたな」という瞬間はありますか。

LINEのQRを交換したとき。LINEを交換するときに、相手が本当は乗り気じゃないとわかってしまうことってありますよね。

そうではなくて、「いいっすよ!」って前のめりで交換してくれるときは、心を許してくれたように感じます。

LINEってプライベート空間だしね。

あとは、Nintendo Switchのフレンドになったときとか。

担当している子もそうでない子もフレンドリストにいっぱいいます。

どっかに飲みに行って悪さするよりも、私と一緒にスマブラとかモンハンやっていたほうがいいでしょ。私もやりたいし(笑)。

「ごちゃまぜCafe メム」店内の様子

—— 彼らとの対話の中で、どんなことを心がけているのでしょうか。

私は、子ども一人ひとりの成育歴とか状況、環境に応じて、その子の居場所をつくっていく必要があると思っています。

人は居場所がないと生きていけないので。

学校にも家庭にも居場所がなくて、不良グループと巡り会い、その居場所を確保すべく非行に走るということはよくある話です。

非行少年に限らず、誰もが何らかの居場所を求めながら生きていると思います。

居場所をつくるって、信頼できる人たちをつくることじゃないですか。

私自身がその子にとって信頼できる存在になり、一緒にほかの信頼できる人たちを見つけて、居場所をつくっていくこと。

それを対話しながら模索しています。打ち解けていくと、その過程で不安や悩みをポロっと話してくれることがあります。

その子が抱える不安や苦しみ……それこそ友達には強がってしまって言えないこと、教師や親にはとてもじゃないけど言えないようなことを話してくれる瞬間があるんです。

本来であれば、反省するためには心穏やかに自分と向き合う必要があると思います。

そのためには、自分の心にとって安全な居場所と、充分な時間と余裕が必要です。

でも、例えば周りの人は「二度と薬なんかやるなよ」って言ってくる。これ、私が一番嫌いな言葉です。

「私自身が一番やっちゃいけないってわかってんだよ」と思うんです。

そういう声かけがかえって本人の更生を妨げていることはあると思います。

ほかにも「人間のクズ」「犯罪者は死刑でいい」というような声がネットに溢れています。

だけど、いくら自分が悪かろうが、そういうふうにディスられたら誰だって前なんか向けない。

自分を傷つけてくる奴らがいる社会なら別に戻らなくていいとすら思ってしまうかも。

これは社会全体の課題だと思います。

少年たちの苦悩

—— 子どもたちから「死にたい」という相談を受けることはあるのでしょうか。その場合、風間さんは彼らにどのような話をされますか。

担当していないけど、SNSを通じて連絡をとる子がいっぱいいて、そういう子たちから「死にたい」と相談されることは多いです。

死にたいと言われたら、「そっか死にたいんだね」と返します。

肯定も否定もせずに受け止めるんです。

そのあと、「死にたくても、すぐに行動に移すんじゃなくて、私に話してくれてありがとね」と感謝します。

なぜかというと「死にたい」という言葉はある種のSOSだからです。

だから言ってくれるとかえって安心します。昔一緒にやんちゃしてた奴が、去年自殺したんです。

死ぬ間際まで連絡をとっていたんですけど、最後まで「死にたい」って打ち明けてもらえませんでした。それがすごく心残りです。

私や、ほかの誰か相手でもいいんですが、「死にたい」と言ってくれることで、少なくともその場では実行を先延ばしできるかもしれないし、話している間に考えが変わるかもしれない。

睡眠導入剤が効くまでの間、通話をしたり一緒にいてあげることもあります。

死にたい人、たくさんいますよ。非行少年にも多いです。

——「死にたい」理由にはどういったものがあるのでしょうか。

人間関係の悩みが多いんじゃないかな。

かつての私の場合だと、親や先生などの大人たちから責められ続けて「死ななきゃ」と思っていたところがありました。

「私に存在価値がないんだな、死ぬことでしか責任とれないのかな」と。

私は、自傷行為をしながら悪さをするタイプでした。何がどうなってもいいんです。殺してもいいし、死んでもいい。

でも、本当は「死にたい」のではなくて、「解放されたい」なんですよ。

苦しみから解放されたいという気持ちが、「死にたい」に直結しちゃう。

「本当に死にたい」というわけではなくて、死ぬのが一番簡単な解決策としか思えなくなってしまうんです。

子どものために、大人は

—— 風間さんとの対話を通じて、少年たちはどのようなポジティブな変化をしますか。

心情を吐露できるようになることはポジティブな変化だと感じています。

例えば、親から受けた抑圧や虐待に対して、ため込んでいた怒りが表出するタイプの非行があります。

ずっと我慢していたものが爆発し、怒りの矛先が他人にまで向いてしまう。少年たちも苦悩しています。

でもそれを言葉で素直には言えないし、望んでもいないアドバイスや指摘をしてくる大人しか周りにいなかったら、どうせ説教されるからって、話すのが嫌になってしまいますよね。その積み重ねなんです。

だから、自分が今何に対して不安や苦しさを感じているのかについて話すことができるようになるだけでも、すごくポジティブな変化だと思います。

あとは、私の経営する店、「ごちゃまぜCafeメム」に来てくれることもポジティブな変化だと思います。

それまで、夜な夜な外に悪さしに行っていた子たちが、昼間にカフェに行くわけですから。

うちの店に来るお客さんにはいろいろな状況、環境に置かれている人がいます。

一見、普通に生きていたら交わることのなさそうな人同士でも、会話が弾んでいることは多いです。

例えばですが、うつ病を抱えて生活保護を受けている人と、やんちゃな非行少年が何気なくコーヒーを飲みながら話したりとかね。

意外と共通の話題は多いですし、それぞれ辛いことを抱えているから、共感し合えるところも多いんです。

そうやっていろんな人との対話を探り探りやっていき、自分が他者から受け入れられる経験の積み重ねで、自分も他者を受け入れられるようになっていくと思います。

—— 風間さんとの関わりの中で、自分を見つめなおし、理解することができるようになる少年が多いのでしょうか。

自分で言うのも恥ずかしいですが、割とそんな気はします(笑)。

とにかくいっぱい対話をするので。何の意味もなさそうな話も実はすごく大切なんですよね。

話を重ねることで、自分が何を感じたかを適切に言語化して人に伝えることに、少しずつ慣れていくと思います。

それこそ、同じ映画を観ていたとき、「あのシーンどう思った?」というテーマで話すこともあります。

そこで、私なりの感想を言うと、「マジっすか。そんな感じだと思わなかったっす」というように、自分とは違う意見や見方もあるということをわかっていく。

対話を通じて、自分と違う人間と関わることで、自分自身の輪郭をつかんでいくのではないでしょうか。

—— 大人は子どもとどのように関わり、対話すれば良いのでしょうか。

言葉のかけ方にも作法というか、技術があると思うんです。

例えば、世間の大人たちは「薬物なんかやるな」「遊んでないで真面目に就職しろ」などと言うことが多いですよね。

でも、これらの言葉ってその人の言葉というよりは、ただの一般論に聞こえます。

私は常に、「私はあなたが薬物をやめてくれたら嬉しい」「私はあなたの生活面を心配してるよ」というように、素直に言葉を選んで、紡いでいく。

私の言葉として、伝えていくんです。

これがIメッセージと呼ばれるコミュニケーションの方法です。

一方で、Youメッセージ、つまり「あなたってそうだよね。

あなたのこういうとこダメだね」という言い方は、かえって相手の反発心を刺激しやすい。

前者と後者では、相手の受け取り方が変わってくると思いませんか?

ほかにもアサーティブコミュニケーションは重要だと思います。

アサーティブとは、自分も相手も同じだけ尊重しつつ、誠実に表現することです。

相手だけ尊重するのも、自分だけ尊重するのも不健康。けれど大人は、子どもに対してそのことを忘れがちです。

守り育てる対象ですから、どうしても下のものとして見てしまいやすい。

自分は大人だからと、子どもに傷つけられても我慢してしまうことも多いはず。それは対等ではありませんよね。

私が思う“対等”とは、「私もあなたも別の人間であり、互いが尊重されるべき人間」ということです。その考えが土台にあってはじめて、対話が可能な段階に達すると思っています。

子どもは大人の背中を、生きざまを見て学んでいきますからね。

子どもを含めた他者を責め裁く大人のことも、他者を受け入れて尊重する大人のことも、きっとよく見ていますよ。

VOL. 対話の向こうに インタビュー
保護司

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