あとは、寝るだけ。
普通のことができない。当たり前に出来なきゃいけないことができない。それも自分だけ。どうして どうして どうして。何回同じ思いをしたら済む。世界が怖い。明日が怖い辛い苦しいこのまま夜に溺れたいもう明日なんて自分には来なくていいむしろ来ないで欲しい。こうやって独りで考え事をしたってなにも変わりやしないのに。こんな時、誰かの肩を借りれたら何か変わるのだろうか。あぁ人間やめれたらな。明日が怖いと思うのだって人間だけ。過去を思い出して悔やんで、不確定の未来を想像して、不安になって絶望してるのだって人間だけ。人間の賢さを理性をすべて捨てて、目の前にある餌に食らいつく動物になりたい。その方が楽だ。楽だ???またそうやって逃げようとする。はあ情けない。背中を押してくれるような味方もいない自分になんて明日はこない方いい・・・・・・・
ピピピピ ピピピピ
眠れなかった。また、今日がはじまる。
・カーテンを開ける
・歯を磨く
・着替える
家を出た。
家に帰った。
カップラーメン
と、お湯
ピピピピ ピピピピ
ラーメンを一口
「アッッッッッッつ!」
むやみにティッシュを取り出して、慌てて飛び散ったスープを拭い、水を一気に飲み干す。呼吸が、荒い。ぐしゃぐしゃに丸められたティッシュを片手に、散らばった箸をぼーっと見つめる・・・。あぁ、舌がヒリヒリ。フフッ、こんなに焦ったの久しぶりだな。
てか、今日何食べたっけ。
今日はただ体が動くまま、気づけば一日が終わってた。今やっと、体が自分のものになった感じがする。
フーフー すごくすごくおいしい。
急に疲れがどっときて、いつの間にか寝ちゃってた。
ピピピピ ピピピピ
ピカッ まぶしい
スタスタ 窓際に立って外を眺める
ブォーン 通りすぎる車はみんなやる気に満ち溢れている
シャカ シャカシャカ 歯磨き
ふわっ クリーニング帰りのシャツ 柔らかい匂い、好き
ガチャ ドアを開ける
ぱぁぁぁぁぁ 太陽は心強い味方
いつもの公園
ちょっと立ち止まってみる。
ママチャリに抜かされながら、アーケードの中を歩く帰り道
行列の隙間から安心するコロッケの匂い。いつぶりかな、買っちゃお。
ちょっと早歩き。地面が急げと念押ししてくる。
揚げたてをゲット。なんだか歓迎されてるみたいだ。
今日はいい日
あっ、たんぽぽ。春だなぁ。
えっ、ショベルカーに飲み込まれた駄菓子屋。明日には無い。
見てるもの 聞いてるもの 嗅いでいるもの 感じているすべてのこと。
大事にしたい。忘れないように。
カシャ
心と体で感じたこと。
それは、自分がこの世界を生きた証。
リリリリリリン
ジャー―――――
カタカタカタカタ
コツ コツ
さわさわさわさわさわさわ
ウオンウオン
コポコポ コポ
ぱたぱた
必ずやってくる今日。不安 孤独 絶望
でも、溺れるのは夜の間だけにしよう。朝になって布団から出たら、そこにはちゃんと世界があるんだってわかった。風の音を聞いて、太陽の光を浴びて、ご飯を美味しいって思うことができた。
自分は一人じゃない、みんなと同じ世界を感じて生きている。だって自分には感覚があるから。
ひとりじゃない。
寝る前になんとなくカメラロールを遡る。
動きだす情景と再生されるあの時だけの音。
全部をずっと覚えておくことはできないけど、写真が、感覚が、いろんなことを思い出させてくれる。
人間もわるくない。今はそう思う。
ピピピピ ピピピピ
眠れなかった。夜に溺れていた。また、今日がはじまる。
ブルルルルン ガチャン 朝刊配達の音が聞こえる。
窓の外には街に向かっていく車が見える。
そう、ひとりじゃない。
今日もまた、感覚を味方に、人間として生きてやる。